新収益認識会計基準の適用_法人税法への影響①

法人税法上の収益計上について

収益認識会計基準の適用については、間もなく強制適用されるので、おさらいもかねて法人税法上の取り扱いを記載します。

国税庁からアナウンスがH30年5月に出ていましたので、詳細はそちらをご確認下さい。

  • 概要

法人税法上は所得の金額を算出するために、益金の額を把握することになりますが、その益金の額は別段の定めがあるものを除き、資産の販売等に係るその事業年度の収益の額と定められています。また、その収益の額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(GAAP)に準拠して計算され、一定の税務上の調整を行うことで算出します。

これは、法人税法第22条4項に規定されており、新収益認識会計基準もGAAPですので、税法においても新収益認識会計基準の考え方(Ex.会計処理単位は履行義務単位、履行義務の充足に応じた収益の計上)を取り込んで2018年法人税改正が行われています。

2018年法人税改正では、法人税法第22条の2が新設されましたが、法人税法第22条の規定に優先して適用され、法人税法原則的な収益の認識基準である引渡基準だけでなく、近接日する日における収益計上も認められることになっています。とは言え、法人税法上では公平な課税所得を計算する観点から、法人税法独自の取扱いを規定しています。(なお、中小企業は会計処理は従前通りの処理も認められていることから、法人税法上も従前通りの処理でOKです。)

具体的には法人税基本通達 第2章 収益並びに費用及び損失の計算の中(第3款 役務の提供に係る収益)で記載されていますので、法人税法上のポイントを見ていきたいと思います。

  • 法人税法上のポイント

①ポイント等を付与した場合の収益の計上の単位について (基本通達2-1-1の7)

収益認識に関する会計基準の適用指針 第48項には

既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合、そのオプションが、当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するとき(ex.通常の値引きの範囲を超える値引き)にのみ、当該オプションから履行義務が生じる。

とあります。このため、ポイント等を履行義務として識別するには、契約の締結と重要な権利に該当することが必要になります。

法人税法上はこの要件も併せて、以下の4つの要件を求めています。会計上もポイント部分の契約負債金額を算定するためには同様の事項が必要になりますが、法人税法上はより厳密に要件が定められていますし、特に(4)のようなものに関しては、1000ポイントから交換なんていうポイント制度の場合には、要件を満たさないので前受処理はNGとなるため、会計との差が生じることになりそうです。

次に掲げる要件の全てに該当するときは、継続適用を条件として、自己発行ポイント等について当初の資産の販売等とは別の取引に係る収入の一部又は全部の前受けとすることができる
⑴ その付与した自己発行ポイント等が当初の資産の販売等の契約を締結しなければ相手方が受け取れない重要な権利を与えるものであること
⑵ その付与した自己発行ポイント等が発行年度ごとに区分して管理されていること
⑶ 法人がその付与した自己発行ポイント等に関する権利につきその有効期限を経過したこと、規約その他の契約で定める違反事項に相手方が抵触したことその他の当該法人の責に帰さないやむを得ない事情があること以外の理由により一方的に失わせることができないことが規約その他の契約において明らかにされていること
⑷ 次のいずれかの要件を満たすこと
イ その付与した自己発行ポイント等の呈示があった場合に値引き等をする金額が明らかにされており、かつ、将来の資産の販売等に際して、たとえ1ポイント又は1枚のクーポンの呈示があっても値引き等をすることとされていること
ロ その付与した自己発行ポイント等が当該法人以外の者が運営するポイント等又は自ら運営する他の自己発行ポイント等で、イに該当するものと所定の交換比率により交換できることとされていること

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